サラ文・展望台(2005年12月)

定年後は何か趣味をもたねばというのは強迫観念になって喧伝されています。先日川柳作家である友人に連れられ川越市での川柳大会に行きましたが、東京からも大変な人数の参加者で(シニアが多い)、ためしに私が提出した川柳も当然ながらすべてボツでした。こういった大会は全国で行われており、少なくない人数の人たちが作品を出し選者が入選者を決めます。
話は飛びますが、私はシャンソンを聴くのが好きでよくシャンソニエに行くのですが、プロと言われるシャンソン歌手は生徒さんをとります。歌が好きという趣味で弟子入りし、勉強してうまくなると先生のコンサートにも出演させてもらえます。ヤクルトホールなどの一流どころを使い、決して公民館などではありません。きらびやかな衣装での舞台は入場料を取っても持ち出しになるかと想像しますが、趣味としては大成功で本人も生きがいがもてるでしょう。先生であるプロ主催のコンサートですから聞きに行くほうも料金を払うのですが、この1ヶ月だけで、秋のシーズンということもありますが、私は4回のコンサートに行きました。
 趣味をするということは、必ずその先には発表会や展覧会があります。自分の趣味に関してお世話になった場合、今度は相手の招待を断ることは難しいでしょう。2007年以降には団塊世代が参入し、未曾有の一億総趣味の時代が来るでしょうが、人間はやはり成果を誰かに見てもらいたいものなので、ささやかであってもいずれは必ず披露の場が待っています。つまり自分の趣味を披露するのと同時に、他の人の趣味も見て回らねばならないということです。とっつきやすく、さほどお金のかからない作句などの趣味は前述のように競争は厳しく、いつもボツというのではやる気をなくします。“適趣味”を求めて渡り歩く趣味難民も出てくるでしょう。趣味といえども、ものによっては単なる時間つぶしの延長線上では、淘汰されてしまう時代がやってくるのを感じたこの1ヶ月でした。

落合 正子ochia

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