サラ文・展望台(2005年1月)
『年 頭 所 感』

                        会長 藤井忠生

明けましておめでとうございます。皆様には良いお年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

ところで「年が明けることは何故めでたいのだろうか。結婚がめでたいと言われるのと同じ位不可解である。」と当代切っての名哲学者土屋賢二氏は言う。どうも哲学者は本当のことをさらっと言うものである。それとも哲学者は皆ソクラテスのようになかなか世にも妻にも理解されないものなのか。それなら自慢じゃないが、サラ文の会員もソクラテスクラスの人たちはいっぱいいる。

突然ですが、「ヒバの汁、切干の煮物、ごぼう、豆腐、あらめ、梅干、こんにゃく、山のいも、鰡二本、浜焼き、蜆あえもの、香の物、酒」と、何だかおせち料理のようなものが並びましたが、これは何でしょうか。なんと、時は元禄8年、尾張藩の名古屋城城代組御本丸御番(お城の警備係長のようなもの)の当直の夜のべんとうの中身と来たものです。下級武士にしてはなかなか豪華です。おまけに勤務中なのに酒までついています。関が原の戦いから約100年。新田開発も進み、商工業も活発になる中で、高度成長を遂げた日本は世界でも稀な豊かな社会が形成されていきました。一日3食になり、宿屋では食事などのサービスが始まり、江戸の町には食べ物やの店が出るようになりました。そこに元禄文化が花開いたのです。松尾芭蕉,井原西鶴,近松門左衛門,初代市川団十郎,竹本義太夫,菱川師宣,尾形光琳、等々なんと豪華な!

思えば、哲学や文化芸術がさかんという事は平和で豊かな社会の証でもあります。ある新聞社のアンケートに「平成16年はどんな年になると思うか一言で言ってください」との問いに「前途多難」というのが一番多かったそうです。景気回復はまだ本格的ではありませんが、それでも世界の中では最も平和で豊かな国であります。

十数年前サラ文は「仕事だけでなく趣味を持ち豊かな人生を」と歌い上げ,日本のサラリーマン社会に広く迎え入れられました。そして今、団塊の世代が続々と定年を迎える中で、サラ文は現役時代から定年後までを通し「一生涯を豊かに」生きるためのモデルであり牽引車になることが期待されています。江戸商人は「時を見,変化を思うべし」と、人々が何を考え何を望んでいるかを見極めろと言っています。今年も会員の皆様の活躍により、ますます期待されるサラ文として日本社会の「遠くを慮り」ながらいっぽいっぽ歩んでいきましょう。

fujii

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