サラ文・展望台（2012年2月）

日本語のおもしろさ
サラ文通信では川柳やドドイツを楽しむページがあります。私は回文というどちらから読んでも同じ文を作ることがありますが、漢字回文を使っての川柳もありますのでそのおもしろさを紹介します。漢字を逆さにしたものでもさまざまな熟語があります。それを使って川柳を作ってみるのです。
たとえば、「高額の切手で払う手切れ金」、「長年の苦労を語る年長者」、「座るなり相手の手相見る見合い」、「途中から中途半端にはさむ口」等々。
これらのアンダーラインを引いた漢字の部分が漢字回文となっています。日本語はこのように逆にできる熟語が枚挙にいとまがないくらい多くあります。ほんの一例として下記の熟語をＡ群とＢ群に仕分けしてみました。

Ａ群→子馬／馬子、家出／出家、高座／座高、上目／目上、夫人／人夫、世辞／辞世、番茶／茶番、事情／情事、中心／心中、裏口／口裏、動機／機動、体得／得体、所長／長所

Ｂ群→女王／王女、出演／演出、現実／実現、愛敬／敬愛、長身／身長、産出／出産、会議／議会

Ａ群は明らかに別の意味の熟語となりますが、Ｂ群はなにやら似たようなものに感じますが、よく考えてみると全然ちがうというところにおもしろ味があります。女が憧れるのが女王なら男が憧れるのが王女、表で頑張るのが出演なら裏で頑張るのが演出、夢は夢だと知るのが現実なら夢が夢でなかったのが実現、ふりまくことができるのが愛敬ならふりまくことができないのが敬愛、短いものは無いのが長身で短いものもあるのが身長、物を生み出すのが産出だが命を生み出すのが出産、議会なんかなくてもまともな話し合いができるのが会議だが、まともな会議なんかしなくても存在するのが議会です。
ときどきはゲーム感覚でリラックスしながら遊んで見ましょう。

                                                                                                                                                                                      落合正子