サラ文・展望台（2012年10月）

　今年の夏は、ロンドンでオリンピック、パラリンピックが行われ、日本は、多くのメダルを獲得し、私たちは、眠い目をこすりながらテレビで観戦しました。各競技の試合前、試合中の選手の皆さんの緊張感のある表情は、地上デジタル放送で見た為か、より真剣に見えたと思います。
ところで、社会人になると仕事以外では、なかなか、緊張感を感じることが少なくなりますが、皆様のように、芸術活動やスポーツをなさる方は大会、発表会、試合などで、真剣に取り組んでいらっしゃる方は、いつも感じてらっしゃることと思います。
たまたま、最近、私の姪っ子の高校吹奏楽部の大会で高校生の真剣な活動をみる機会がありました。夏の県大会と秋口の東関東大会でのことです。
会場は、約１８００名収容のホールで、会場へ入ると、「カメラ、ビデオ、携帯等での、録音・撮影厳禁、私語、厳禁」でホール内では、携帯を見るだけでも、係りの人が寄ってきて、「電源を切ってお仕舞いください」と言われます。漂う緊張感で肩がこってしまいました。大会が始まると、分刻みで、出場者が入れ替わり、拍手も演奏が終わった時のみと決められていて、外の車の音さえ聞こえてくる位の静寂でした。
　出場校の演奏の出来は、どの学校も甲乙つけがたいくらい上手でどこで審査員は優劣をつけるのか分かりませんでした。しかし数校だけが代表校に選ばれるわけで、表彰式の後は静けさからうってかわって、選ばれた高校、そうでなかった高校とも、悲鳴、涙、歓声で、大喧噪になりました。大会にかける、若い人たちの、真剣さには、心打たれるものがありました。

                                                                                                                                                                   　　野崎　肇